片側極限

左極限と右極限が異なるとき、両側極限は存在しない

両側極限は二つの条件を同時に要求します。左から近づく値と右から近づく値が、同じ目標に落ち着かなければなりません。片側だけを求めても十分ではなく、その点での関数値を変えても方向の不一致は直りません。

先に結論

両側極限が存在するのは、左極限と右極限が同じ値に近づく場合だけです。

近づく点の左右で式の振る舞いが変わる可能性があるときは、両方向を別々に確認します。

比較例:x が 0 に近づくときの 1/x

0 に近い負の x では 1/x は負で、絶対値は大きくなるため、左極限は −∞ です。0 に近い正の x では正で絶対値が大きくなるため、右極限は +∞ です。

左右が一致しないので、両側極限は存在しません。両側の答えを単に「∞」とすると、符号が反対であることを隠してしまいます。

有限の跳びでも同じです。左から 2、右から 5 に近づくなら、関数値や 2 と 5 の平均を極限にはできません。左右の一致が必要です。

穴が開いているだけの場合は異なります。左右が同じ数に近づくなら、その点で関数が未定義でも、また別の値が代入されていても極限は存在できます。

1
lim x→0⁻ 1/x = −∞
2
lim x→0⁺ 1/x = +∞
3
左右が不一致 → 両側極限は存在しない

例題

lim x→0⁻ 1/x
−∞

負の側から近づくので逆数も負のままです。

lim x→0⁺ 1/x
∞\infty

正の側から近づくので逆数も正のままです。

lim x→1 (x²−1)/(x−1)
22

元の式には穴がありますが、約分後は左右とも同じ値に近づきます。

よくある間違い

  • • 計算しやすい片側だけを確認すること。
  • • 周囲の値を調べず、その点での関数値を極限として使うこと。
  • • 符号が反対の無限大を、一つの共通した無限極限とみなすこと。
  • • 関数値が未定義なら必ず極限も存在しないと思うこと。

例題を計算機で確認

各リンクから、式・変数・必要な条件が入力された対応計算機を開けます。

入力例なしで開く: 極限

参考資料

よくある質問

関数がその点で未定義でも両側極限は存在しますか?+

存在できます。極限は周囲の値で決まるため、左右の片側極限が一致すれば、その点の関数値がなくても構いません。

片側が有限で、もう片側が無限大なら?+

左右が一致しないため、両側極限は存在しません。

跳び不連続では必ず両側極限がなくなりますか?+

跳びの点では左極限と右極限が異なるため存在しません。ただし、その点以外の極限まで存在しないという意味ではありません。

まとめ

両側極限を答える前に必ず左右を計算します。同じ値なら極限が成立し、方向による不一致が一つでもあれば、その点で両側極限は存在しません。

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